自転車とジュネーブ条約

道路交通条約と自転車

 「条約」とは、国の間において文書の形式により締結され、国際法によつて規律される国際的な合意。
 憲法第98条第2項は、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定しており、締結し、公布された条約等は国内法としての効力を持つ。
 憲法には締結した条約と法律との関係についての明文の規定はないが、条約が法律に優位するものと考えられている。
 そのため、日本では自由な移動を保障する憲法に対して、私たちの行動を制限して公共の自由を守り法律の上位に位置する法令となる。

ジュネーブ道路交通条約 Convention on Road Traffic (Geneva,1949)とは?

道路交通に関するジュネーブ条約は、道路交通条約とも呼ばれ、国際道路交通の発展と安全を促進する国際条約である。この条約は締約国間で統一規則を定めることでこれを実現している。
国境を越えたより安全で効率的な道路交通への役割が大きい。

・目的と起源
この条約は1949年8月23日から9月19日までジュネーブで開催された国連道路交通会議で準備され、署名が開始された。
この条約の主な目的は、道路交通に関する規制を調和させることによって、交通安全を高め、国際的な旅行を容易にすることである。
・最低装備基準
この条約は、車両に搭載することが義務付けられている最低限の機械装置と安全装置を取り上げている。
車両が一定の安全基準を満たすことを保証し、世界的により安全な道路づくりに貢献している。
・識別マーク
この条約は、車両の原産地を識別するための識別マークを定めている。
このマークは、当局が登録国を確認し、交通規制を実施するのに役立つ。
・発効
条約は1952年3月26日に発効した。
1926年の自動車交通に関する国際条約や道路交通に関する国際条約など、それまでの道路交通条約に取って代わるものである。
・締約国
この条約は101カ国が批准している。
締約国の中では、この条約が以前の条約に取って代わり、国際道路交通規則の枠組みを提供している。

道路交通条約が自転車に係る部分

・第三条 定義
「自動車」とは、道路において本来又は貨物の運搬に使用されるすべての自動推進式の車両(レール又は架線によって走行する車両を除く。)をいう。付属書一の拘束を受ける国については、同付属書に規定する補助エンジンを装備する自転車をこの定義において除外するものとする。
 「自転車」とは、自動推進式ではない自転車をいう。付属書一の拘束を受ける国については、同付属書に規定する補助エンジンを装備する自転車をこの定義において含ませるものとする。

・第九条 一般的通行規則
道路に置いて同一方向に進行する車両は、道路の同一の側を通行するものとし、その通行する側は、それぞれの国において全ての道路について統一されていなければならない。だだし、一方通行に関する国内法令の適用は妨げられないものとする。
  運転者は、左折し又は右折するに先だって、次のことを守らなければならない。
 他の道路使用者に危険を及ぼすことなく左折し又は右折することができることを確認すること。

左折し又は右折する意思を表わす適切な合図をする。
自己が進行する方向に適応した側に左折し又は右折 しようとするときは、できる限り車道のその側の端に 寄ること
(第十六条2に定める場合を除くほか、自己が進行す る方向に適応した側とは反対の側に右折し又は左折し ようとするときは、できる限り車道の中央に寄ること。 いかなる場合にも、反対の方向からの交通を妨害し ないこと。

・第十二条 交差点

1運転者は、三差路、十字路その他の交差点又は踏切に接近するときは、事故を防止するため特に注意を払わなければならない。
2道路又は道路の区間については、交差点において優先 通行権を与えることができる。 この優先権は、標識によ って示すものとし、運転者は、そのような道路又は道路 の区間に接近したときは、当該道路又は道路の区間を通 行している運転者を優先させなければならない。
3 2の規定が適用されていない交差点における優先通行 権については、附属書二の拘束を受ける国においては、 同附属書の規定を適用する。
4 運転者は、左折し又は右折するに先だって、次のことを守 けれ ならなこと。他の道路使用者に危険を及ぼすことなく左折し又は右折することができることを確認すること。左折し又は右折する意思を表わす適切な合図をする。自己が進行する方向に適応した側に左折し又は右折 しようとするときは、できる限り車道のその側の端に 寄ること
(第十六条2に定める場合を除くほか、自己が進行す る方向に適応した側とは反対の側に右折し又は左折し ようとするときは、できる限り車道の中央に寄ること。 いかなる場合にも、反対の方向からの交通を妨害し ないこと。

・第十五条 点燈の義務

道路上の車両又は連結車両は、日没から夜を通じて、 又は気象状況により必要とされるときは、前面に少なく 個の白色燈を、後面に少なくとも一個の赤色燈を点燈していなければならない。
自転車又は二輪の自動車(側車付きのものを除く。) 以 外の車両が前面に白色燈一個のみを備えているときは、 その白色燈は、反対の方向からの交通に近い側に備えて いなけ ならない。
いかなる場合にも、車両は、前方に向けた赤色燈若し くは赤色の反射器又は後方に向けた白色燈若しくは白色 の反射器を備えてはならない。この規定は、車両の登録 国の国内法令が白色又は黄色の後退燈を認めている場合 には これについて適用しない。

・第十六条 自転車の運転規則

自転車の運転者は、自転車道を使用する義務が国内法令により定められ、又はその義務が適当な標識によ り表示されている場合には、自転車道を使用しなければならない。
自転車の運転者は、状況により必要とされるときは、 一列で進行しなければならず、また、国内法令に定め る特別の場合を除くほか、自転車を三台以上並列させ て車道を進行してはならない。
自転車の運転者は、 車両に自己を牽引させてはならない。
(第十二41規定は、国内法令に別段の定めがあ るときは 自転車の運転者には、適用しない

・第十七条

 1 方式の画一性を確保するため、締約国の道路に設置さ れる道路標識及び信号機は、できる限りその国において 採用されているものに限定されなければならない新た標識採用が必要な場合には、使用される記号の形、 及び図案は、その国で用いられている方式に適合しなければならなない。
 2 正規の標識の数は、必要最小限とどめなければな らない。これらの標識は、それ不可欠である場合にの み設置するものとする。
 3 警戒標識は、道路使用者に警告を適切に与えるため、 表示されている障害存する場所から十分距離を置い て設置
 4 標識目的に関係なく、かつ、標識を見にくく又 はその性格を変えるおそれある掲示正規の標識につ けることは、禁止しなればならない 。
 5 正規の標識と混同され、又はその判読を一層困難にするおそれのあるすべての標示板及び掲示を設置することは禁止しなければならない。

・第二十三条 車両の最大寸法および最大重量

締約国又はその下部機構の道路を通行することを認められる車両の最大寸法及び最大重量は、国内法令の定め るところによる。 地域的協定の当事国が指定し、又はそのような協定がない場合において締約国が指定する道路 においては、許容最大寸法及び許容最大重量は、附属書 七に定めるとおりとする。

・第二十六条 国際交通における自転車に適用する規定 自転車の具備すべき装置

自転車は、次に掲げるものを備えなければらなない。
少なくとも一の有効な制動装置
ベルから成る警音器(他の警音器であってはならない。)で相当の距離から聞くことができるもの
日没から夜を通じて、又は気象状況により必要とされ るときは、前面に一個の白色燈又は黄色燈及び後面に一 個の赤色燈又は赤色の反射器。

ウィーン条約について

道路標識および信号に関する条約(通称:ウィーン条約)」は1949年に制定されたジュネーブ条約で定められた道路標識や信号を修正・拡張したもの。
よく詳しくルールを定められていますが、日本やアメリカアは批准していません。

デンマーク 自転車 DENMARK BIKE bicycle

ジュネーブ条約と現在日本の課題

ジュネーブ条約は抽象度の高い定義が多いため、直接的に国内で齟齬がある項目は少ないと言えますが、標識については大きな課題と考えます。

・標識の難解さ
ジュネーブ条約では”正規の標識の数は、必要最小限度にとどめなければな らない。これらの標識は、それが不可欠である場合にの み設置するものとする。”となっていますが、補助標識を含めてイレギュラーに対応する標識が多くあり、日本人、外国人問わず理解が難しいものとなっている。